1983年7月B棟 梁のコンクリートが崩落

豊多摩アーカイブス

「豊多摩アーカイブス」という企画で月一回、往時の写真を公開していければと思っています。その初回は、私の手許にあり、企画趣旨に合ったものということで用意させていただきました。

高校時代の写真が思ったほどなく、後述する「豊多摩アーカイブス」の掲載ルールに合わせると、この1枚限りになってしまいました。

こちらは紙焼きプリントをスキャンしたもので、右下のフジカラーHRというロゴマーク横に「83」と記され、写真の裏には手書きで「7月、数学の授業後」と覚えが書き付けてあったので、この写真が1983年7月の風景だったことは間違いありません。

高校3年の7月、梅雨の中休みのような湿気の多い曇り空の日だったと思います。数Ⅲの授業が始まってまもなく、板書をしていた少し長髪で痩せた数学の先生が、ふと思い立ったようにチョークの手を止め、天井を見上げたことを覚えています。先生は、天井の様子を確かめるように見上げながら、黒板から離れ、生徒の席の方に後退りしました。

その刹那、床を強く撃つ音と微かな粉塵と共に黒板に沿った天井の梁の一部が剥がれ落ちたのです。先生は、わ、わっと言葉にならない声を発してさらに後ろに下がりました。自分を含めた生徒たちはなにが起こったのかも分からず、おそらく皆一様に口をポカンと開けて身を固くしていたんだと思います。

コンクリートの粒子の匂いが微かに漂うも、続けての崩落がないと見るや、起こったことの様子を見ようと生徒たちが立ち上がり、教室前方に向かいます。その教室で唯一の大人だった先生は、すぐに冷静さを取り戻し、危ないから近づくなと生徒たちを下がらせます。

床には1m以上はあるであろう歪んだコンクリートの柱状の塊数本と細かく砕けた破片が黒板に沿って飛散していたのが見えました。見上げると黒板に沿った梁のあったところはコンクリートの荒い地肌がむき出しになっています。

写真は状況記録のために撮影をしていた学校事務の方が、フィルムが余ったからと、その数Ⅲクラスの生徒を集めて撮ってくださったものです。フィルムを使った写真は、プリントに出す都合でフィルムが余ることがままあります。そんな時代だったので、何の記念なのかわからない記念写真がここに残りました。(後日、プリントしたものが担任を通じて配られました。)

豊多摩アーカイブスについて

「豊多摩アーカイブス」では、往時の豊多摩の姿を同窓生の皆さんと共有していきたいと考えています。掲載するものは「豊多摩の風景」です。今回は手許ストックの貧しさから、記念写真的なものを挙げてしまいましたが、90年代に取り壊されたB棟(とその不良ぶり?)を写すものとして紹介させていただきました。なお、紹介にあたって、人物が写り込んでいる場合は、豊多摩リンクスのプライバシーポリシーに則り、人物の特定ができないように加工をさせて頂きます。

どうか古いアルバムを出して頂き、蘇った思い出と共に往時の豊多摩の写真を豊多摩リンクスにご提供お願いできますでしょうか。ご連絡お待ちしてます。

36期 高橋英之 hideyukit+archives@toyotama.org

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